2016/7/12 火曜日 10:07 PM
藤田嗣治の美しい リトグラフ '眠る女性' と劇作家 ジャン・ジロードゥーの文章、そして斬新な装幀で人気の1940年にパリで刊行された挿画本「面影との闘い」の翻訳を入手しました。 1960年代の後半に新潮社より出版された「人類の美術 サロン」の別冊に「一枚の絵との対話」というタイトルで3回に渡って連載されています。 訳は岩崎力氏。 名訳です。
以下は抜粋です。
『数日前から、ホテルの部屋に入るとき、私はいつも用心し、ひそかな下心をおぼえずにはいられない。 私の部屋はもはや独房ではないのだ。 そこに入るとき私は目で何かを探し、あるいはなにかを避けようとする。 あかりをつければ私はなにかを照らし、ドアをしめればなにかを夜のなかに投げこむ ー 私にはそれがもう見えない、しかしそれはそこにあるのだ。 敗戦以来はじめて私はあるものをもち、所有し、あるもんが私と一緒に暮らしている。それはまるで偶然私の部屋に入りこんだかのよう、それというのはフジタが厚紙に描いた女の顔の絵だ。』
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