2016/9/13 火曜日 5:35 PM
魅せられし河より「ボーボー広場」
「フジタの目に重要なものとして映る (唯一の) 風景は、都会の風景である。 なぜなら、都会は人間の創造物だからである。
都会は、人間、その仕事、私的または公的な生活、感情の鏡でさえあるからである。
フジタは、恵まれた独創性により、都会の画家の系列に含まれる。
フジタにとって都会とは、何よりもパリ (及びその近隣) である。
フジタのパリは、忘れられた下町、老朽化した大きな建物、人通りの少ない通り、ありふれた店、質素な庭師のパリ、時には 「貧民街」 や工場の煙突のパリでさえある。
しかし、こういったテーマの選択に、悲惨な面を好んで描こうとする意図を決して見て取ってはならない。
フジタは、そこにより多くの人間味をみつけたからこそ、こういったみすぼらしくても、親しみのあるパリを描いたのである。
そこには、人物はほとんど見当たらないが、全てのディテールがきわめて正確に描写されている。
不揃いのこれらの古壁は、人間の顔のように豊かな表情をもっている。」
B、ド・モンゴルフィエ 『フジタ芸術随感』 (レオナール・フジタ展」、アート・ライフ刊、
1986年) 収録より引用
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